Elias Breeskin (エリアス・ブリースキン)
ヴァイオリニスト
Elias Breeskin (エリアス・ブリースキン)。ウクライナの男性ヴァイオリニスト。1896年11月8日生まれ。1969年5月9日没。
ロシア帝国エカテリノスラフ総督府（現ウクライナ領）の小さな村エカテリノスラフ（現ドニプロペトロフスク）に生まれた。1903年、7歳のときポーランドのクラクフにある地元の音楽院でヴァイオリンのレッスンを受けた。8歳のとき、バッハのホ長調の協奏曲を弾き、センセーションを巻き起こした。その後2年間、ウクライナやロシア西部を巡り、皇帝の専属音楽家だったレオポルド・アウアーにも指導を受けた。そのヴァイオリン演奏に圧倒的な反響を得ていた。一家はユダヤ人虐殺のためロシアを離れ、親戚のいるワシントンDCに移り住んだ。ロシアを離れる前の1906年、エリアスはオーストリア・ハンガリー帝国の皇帝フランツ・ヨーゼフのために演奏し、大成功を収めた。母親のオルガは大統領夫人にエリアスのことを話し、自分たちが彼の音楽教育のスポンサーになれないかと頼んだ。ルーズベルト夫人は、彼の演奏を聴いた後、それを承諾し、フランク・ダムロッシュをはじめとする人々を集めて、エリアスのジュリアード音楽院（当時は音楽芸術研究所と呼ばれていた）での教育を支援した。20世紀の初頭、アメリカで最高のヴァイオリン指導者であるフランツ・クナイゼルに弟子として迎えられ、その後のキャリアに多大な影響を与えた。ジュリアード音楽院で9年間学んだ後、1915年にローブ賞を受賞した。1917年、ウォルター・ダムロッシュ率いるニューヨーク交響楽団の一員となった。1918年2月のエオリアンホールでの演奏は大評判となった。後にハリウッド・ボウル・シンフォニー・オーケストラとなるものを結成し、映画の音楽を書き始めた。彼がオーケストラの給料を全部横領して、メキシコシティに逃亡したのもこの頃だった（メキシコはまだアメリカとの犯罪人引き渡し条約がなかった）。メキシコでは、1940年代にメキシコに移住し、メキシコシティで最も古いXEBラジオ局の専属アーティストとなり、カンティンフラスの映画『血も涙もない』を含むメキシコ映画の音楽を作曲した。この地で生まれた娘が、有名なエンターテイナーでありヴァイオリニストでもあるオルガ・ブリースキンである。1945年5月、エリアスはギャンブルによる借金のため、また政治的に不利な立場にあったために逮捕され、政治犯として刑務所に収監された。出所後、3番目の妻レナ・トーレスと結婚し、娘のオルガと息子のエリアス・ジュニオールをもうけたが、彼もまた優れたヴァイオリニストであった。獄中、メキシコ大統領マヌエル・アビラ・カマーチョ（1940年12月1日-1946年11月30日）の恩赦を受ける前、獄中での体験をもとに『ラ・シウダド・デ・ロス・ムエルトス』を執筆した。この作品は、メキシコシティのパラシオ・デ・ラス・ベラス・アルテスで上演され、非常に好評を博した。1969年5月9日、肺炎のため眠っている間に73歳で亡くなった。
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